これは普段診察の中で飼い主様との会話の中でよく遭遇する言葉です。
皆さんは全身麻酔に対して、どのようにお考えでしょうか?
私が診療の中で以下のフレーズを必要とすることが多々あります。
「この病気は手術が必要です」
「検査のために、全身麻酔が必要です」
「不妊手術をお勧めいたします」
「歯周病治療/予防のために、麻酔下での処置をお勧めします」
そんな時飼い主様がおっしゃる一言、
「高齢なので麻酔のリスクが高いから、手術はやめたほうがいい」
実はこれ、かかりつけの先生に言われた一言であることが多いようです。
どういうことか…
7,8歳くらいから子宮や卵巣の病気が多くなるため、不妊手術がなされていないわんちゃんの病気の予防
歯石、歯肉炎があり予防治療のために麻酔下での処置、手術をお勧めすることが多いのですが、
そんなとき「前にかかりつけの先生に、そろそろ不妊手術をしようと思ってるのですが・・・」
「歯石とってくれませんか?」
と伝えたところ、「このこは高齢なので・・・」と言われた、とのこと。
本当にそうでしょうか?
私がいつもお伝えしていることは、
「わんちゃんねこちゃんは7,8歳を過ぎたころから中高齢期に入ります。
私たち人間も中高齢期になって健康に気を配らないといけない時期に入りますからね。
骨折などを除いては手術が必要となる病気もふつうはある程度年をとってからです。
あなたは40歳,50歳で高齢だから手術はやめたほうがいいと言われて納得できますか?
少しでも健康な時にできることはしておいたほうがいいですよ。
病気になったとき、体調が悪い時に手術するほうがずっとリスクが高く危険です。」
と。
私はいつも「全身麻酔」を「車の運転・走行」にたとえます。
「車」は「動物」、「運転手」は「獣医師」、
「車」は基本的に安全に走れるように整備されているはずです。
「走れない車」、「走ってはならない車」では運転しないはずです。
「危険運転はしません」、残念ながら生体ではときには「危険運転」が必要な時もあります。
このときは十分なリスクがあることを説明します。
「車検」は「術前検査」に相当します。
「運転手」は「運転免許証」を与えられた資格者であるはずです。十分な訓練と実務を経験しているはずです。
運転中はいろんな状況に遭遇します。
信号が「黄色」に変われば、注意します。「赤」に変われば、停車します。
「青」信号でのみ走行するはずです。
「歩行者」「自転車」「地形」「標識」などにも注意を払います。
今日は生きて家に帰ってこれないと思って、運転する方はまずいないはずです。
誰も事故にあうとは思っていないはずですし、基本的に遭遇しないはずです。
これまでお伝えしたように、基本的に麻酔もリスクは限りなく「0」に近いと思っていただいて構いません。
我々獣医師は多くの生体情報を常に監視し、目的地に到着するため、
時に遭遇する変化をいち早く検出、対応し、より安全な麻酔を行うよう心がけております。
どうぞ過度の心配をなさらず、本来必要な処置をお受けいただきますことを願っております。
posted by 鈴木慎一 at 00:49| 静岡 ☀|
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