この病気は以前より知られていますが、本当にこんな病気があるのでしょうか?
ウサギさんは嘔吐ができないことはご存知だと思います。
※ウサギは食道の解剖学的構造からが基本的に嘔吐が不可能です。昨年のエキゾチックペット研究会で東京大学のグループがウサギの嘔吐を発表していることは例外とします。
嘔吐とは生態防御反応のひとつで、有害物質を誤って口にしてしまったときに、
それを吐き出すために授かった反応です。もちろん病的な理由から嘔吐することもあります。
グルーミングをする動物が嘔吐をすることができなければ、飲み込んでしまった被毛はどこに行くのでしょうか?
当然腸を通り、
最終的には便と一緒に排泄されるはずです。
ではなぜ「毛球症」が起こるのか考えたことはあるでしょうか?ウサギさんは自然界ではとても低カロリーで、繊維質の多い草を食べて生活しています。
一方、人の手で育てられているウサギさんは高カロリーで、低繊維のペレットを主体に与えられていることが多いのです。
繊維は正常な消化管運動には不可欠です。
実はウサギの毛球症とは・・・この繊維が慢性的に不足していたり、あるいはなんらかのストレス、原因により消化管運動が低下するためにおこるのです。
「毛球症」ではなく、「消化管運動機能低下症」がもっとも正しい病名と考えられます。したがっていろいろな方面から消化管運動の改善を行ってあげることにより、ほとんどのウサギさんは治ってしまいます。
私自身、この手の病気で手術が必要になる子ほとんどいないと考えております。全身麻酔下で手術をすることにより、さらに消化管運動機能の低下が起こります。毛球症の手術後に命を落とすことが多いのはこのためなのです。もちろん一部の例外で緊急手術が必要な例がありますが、それは極めてまれなことです。
posted by 鈴木慎一 at 19:56| 静岡 ☀|
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エキゾチック動物医療
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